新しい道ができると渋滞は減ることが多いですよね。
しかし、不思議なことに道を増やすことで渋滞が増えてしまうことがあるんです。
この記事ではそんな不思議な現象(ブライスのパラドックス)について、わかりやすく解説します。
こんな人にオススメ
- パラドックスが好き
- 論理的な考え方が好き
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Contents
道を追加する前
まずは道を追加する前の状態の説明をします。
下の図でAからBに移動する場合を考えます。
条件
- AからBに移動するためには、Xを経由する道(A⇒X⇒B)またはYを経由する道(A⇒Y⇒B)のどちらかを選ぶ必要がある。
- A⇒XとX⇒Bを移動するためには10分必要。
- X⇒Bを移動するためには\(x\)分必要。\(x\)はその道を通る人数に等しい。
- A⇒Yを移動するためには\(y\)分必要。\(y\)はその道を通る人数に等しい。
上記の条件で10人がAからBに移動する場合を考えてみましょう。
7人がX経由(A⇒X⇒B)、3人がY経由(A⇒Y⇒B)の場合はどうなるでしょう?
X経由(A⇒X⇒B)の道は7人通るので
10分+7分=17分
でAからBに移動できます。
Y経由(A⇒Y⇒B)の道は3人通るので
10分+3分=13分
でAからBに移動できます。
この10人は全員合理的で、できるだけはやく着くほうを選ぼうとします。
さっきのパターンだと、X経由は17分かかり、Y経由は13分かかりました。
X経由で移動した人は、次はよりはやく着くY経由で移動しようとします。
そうすると以下のような状況に収束します。
X経由、Y経由ともに15分で着くようになりました。
つまり、10人全員がAからBまで15分でたどり着くということです。
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道を追加すると・・・
先ほどは10人全員が15分でたどり着くという結果になりました。
では、迂回路を追加して10人全員の移動時間を短くすることは可能なのでしょうか?
以下のように迂回路を追加してみたいと思います。
XとYを繋ぐ道をつくります。さらにこの道を使って移動するのに必要な時間は0分とします。
下の図のようにXとYをくっつけてしまうようなイメージですね。
するとできるだけ早くAからBへ移動しようと思う人はどのように判断するでしょうか。
まず、Aから移動するのに、確実に10分かかる道と\(y\)分かかる道のどちらを選ぶか判断しないといけません。
ここで移動する人数は10人なので、\(y≦10\)となります。
つまり\(y\)分かかる道のほうがはやく着く可能性が高くなります。
次に、XYという中間地点からBへ移動するのに、確実に10分かかる道と\(x\)分かかる道のどちらを選ぶか判断しないといけません。
ここでも先ほどと同様に\(x≦10\)となりますので、\(x\)分かかる道のほうがはやく着く可能性が高くなります。
つまり、10人全員がBにはやく着くために、以下のように移動することになります。
するとどうでしょう。10人全員がAからBへ移動するのに
10分+10分=20分
かかるようになってしまいました。
迂回路を追加する前は全員が15分で移動できていたので、5分増えてしまっています。
不思議なことに迂回路を追加してしまったせいで、全員が損することになってしまいました。
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