「砂が1粒あればそれは砂山である!」
不思議なことに砂山について考察すると、このような結論に至ってしまいます。
この記事では、砂山のパラドックスの意味と解決方法についてわかりやすく解説します。
- パラドックスが好き
- 数学的帰納法が好き
砂山のパラドックス
このような砂山があったとします。
この砂山から1粒の砂を取り除くと、砂山は砂山じゃなくなるのでしょうか?
- 砂山はたくさんの砂が集まってできたものである。
- 砂山から1粒の砂を取り除いても、それは砂山のままである。
これを数学で考えてみましょう。
- ある砂山は\(n\)粒の砂で構成されているとします。
- この砂山から1粒の砂を取り除くと、砂山の砂は\((n-1)\)粒になります。しかし、それはまだ砂山です。
- さらにこの砂山から1粒の砂を取り除くと、砂山の砂は\((n-2)\)粒になります。しかし、それはまだ砂山です。
(この思考を\((n-1)\)回繰り返すと・・・)
- さらにこの砂山から1粒の砂を取り除くと、砂山の砂は\(1\)粒になります。本当に、それはまだ砂山なのか?
類似したパラドックス
砂山のパラドックスに似たパラドックスは他にもあります。
禿頭のパラドックス
禿の人に髪の毛1本足すとその人は禿じゃなくなるのでしょうか?
- 禿とは髪の毛がとても少ない人のこと
- 禿に髪の毛を1本足したところで、その人は禿のままである。
ということは以下のようなことが言えます。
- 髪の毛の数が0本の人は禿です。
- この人に髪の毛を1本足して、髪の毛の数が1本になっても依然禿のままです。
- さらにこの人に髪の毛を1本足して、髪の毛の数が2本になっても依然禿のままです。
(この思考を10万回繰り返すと・・・)
- さらにこの人に髪の毛を1本足して、髪の毛の数が10万本になっても依然禿のままです?
忍者と苗木
昔、忍者が驚異的な跳躍力を得るために以下のような修行をしたと言われております。
- 簡単に飛び越えられるくらいの苗木を用意する。
- 毎日、この苗木を飛び越える
- 苗木は少しずつしか成長しないため、今日飛び越えることができたなら、明日も飛び越えられるはず。
- 苗木が大木になる頃には、驚異的な跳躍力が手に入る。
熊と格闘家
昔、格闘家が熊よりも強くなるために以下のような修行をしたと言われています。
- 小熊を用意する。
- 毎日、この小熊と戦う。
- 小熊は少しずつしか成長しないため、今日勝てるなら、明日も勝てるはず。
- 小熊が大人になるころ、大人の熊にも勝てる強さが手に入っている。
砂山のパラドックスの解決方法
砂山のパラドックスの解決方法は簡単です。
砂山と砂の境界値を設定するだけです。
「たくさんの砂が集まると砂山になる」と砂山の定義を曖昧にしていることが、このようなパラドックスを起こす原因です。
「砂を1万粒集めると砂山になる」と定義すると砂1粒が砂山になることはありません。
「私は嘘つきである」という人は本当に嘘つきなのでしょうか?「張り紙禁止!」と書かれた張り紙は禁止されていないのでしょうか?このように正しいようで正しいと認識できないものがパラドックスです。そんなパラドックスをたくさん[…]