皆さんは異質なもの同士を比較してみたいと思ったことはないでしょうか?
例えば中学3年生のクラスに「50mを5.6秒で走る男の子」と「握力40kgの女の子」がいたとします。
一体どちらがすごいかわかりますか?
なんと偏差値を使えば、どちらがすごいかはっきりと判断することができるんです。
- 数学が何の役に立つのか知りたい。
- 偏差値が何の役に立つのか知りたい。
- 異質なもの同士を比べる方法を知りたい。
異質なもの同士を比較する方法
世の中には比べにくいものってありますよね。
例えば中学3年生のあるクラスで体力測定の後に
- 「50mを5.6秒で走ったオレがクラスで一番すごい」と主張する男の子
- 「握力が40kgあった私がクラスで一番すごい」と主張する女の子
がいたとします。
どちらもすごいと思うのですが、どっちがすごいかはっきりさせるのは難しいですよね。
ところが偏差値を使えば簡単にどちらがすごいか比べることができるのです。
偏差値とは?
「どちらがすごいのか?」の答えの前に簡単に偏差値の説明をします。
正規分布と標準偏差
偏差値を理解するめにはまず正規分布と標準偏差を知る必要があります。
下のグラフを見てもらうとわかりやすいと思います。
正規分布(青い線)を見てわかるように、平均が最も高く、平均から離れるとどんどん下がっていきます。
つまり、正規分布とは平均に近い確率は高いが、平均に遠い確率はとても小さくなるということを表したグラフです。
偏差値
いよいよ偏差値の説明です。
偏差値:\(D\)
元データ:\(a\)
平均値:\(b\)
標準偏差:\(σ\)
とすると
\(\displaystyle D=\frac{(a-b)×10}{σ}+50\)
偏差値を使った比べ方
偏差値の説明が終わったところで実際に
- 「50mを5.6秒で走った中学3年生の男の子」
- 「握力が40kg中学3年生の女の子」
のどちらがすごいか比べてみましょう。
50mを5.6秒で走った中学3年生の男の子の偏差値
まずは50mを5.6秒で走った中学3年生の男の子の偏差値を求めます。
中学3年生(男子)の50m走のデータは以下となっています。(平成29年度のデータ)
平均値 | 標準偏差 |
---|---|
7.63秒 | 0.82秒 |
これらの値から、5.6秒で走る人の偏差値を求めてみます。
(※走力は値が小さくなるほど評価が高くなるので、正規分布のグラフを反転しています。)
偏差値:\(D\)
元データ:\(a=5.60\)
平均値:\(b=7.63\)
標準偏差:\(σ=0.82\)
とすると
\(\displaystyle D=-\frac{(a-b)×10}{σ}+50\)
\(\displaystyle D=-\frac{(5.60-7.63)×10}{0.82}+50≒74.8\)
50mを5.6秒で走った中学3年生の男の子の偏差値は74.8となりました。
ちなみに正規分布のグラフの中ではこのあたりに位置しています。
握力が40kg中学3年生の女の子の偏差値
次は握力が40kg中学3年生の女の子の偏差値を求めます。
中学3年生(女子)の握力測定のデータは以下となっています。(平成29年度のデータ)
平均値 | 標準偏差 |
---|---|
24.98kg | 4.77kg |
これらの値から、握力40kgの人のの偏差値を求めてみます。
偏差値:\(D\)
元データ:\(a=40.00\)
平均値:\(b=24.98\)
標準偏差:\(σ=4.77\)
とすると
\(\displaystyle D=\frac{(a-b)×10}{σ}+50\)
\(\displaystyle D=\frac{(50.00-24.98)×10}{4.77}+50≒81.5\)
握力が40kg中学3年生の女の子の偏差値は81.5となりました。
ちなみに正規分布のグラフの中ではこのあたりに位置しています。
結論
- 「50mを5.6秒で走った中学3年生の男の子」
- 「握力が40kg中学3年生の女の子」
のどちらがすごいかを偏差値で比べてみた結果は以下のようになりました。
偏差値 | |
---|---|
50mを5.6秒で走った中学3年生の男の子 | 74.8 |
握力が40kg中学3年生の女の子 | 81.5 |
結果、「握力が40kg中学3年生の女の子」のほうがすごいことがわかりました。