ブラジルで蝶々が羽ばたくと、テキサス(アメリカ)で竜巻を引き起こす。
と言われたことがバタフライ効果(エフェクト)という表現の由来です。
本当にそんなことが起こるのか?
この記事で、この疑問についてわかりやすく解説します。
実はこの話、天気予報の的中率が100%でないことや、未来予知ができないことにも関わっています。
- カオス理論・バタフライ効果の意味を知りたい。
- なぜ天気予報が外れるの知りたい。
Contents
初期値敏感性
バタフライ効果の意味を理解するためには、まず初期値敏感性(しょきちびんかんせい)という言葉を理解する必要があります。
初期値敏感性がないもの
まずは初期値敏感性がないものです。
例としてやり投げをする場合を考えてみます。
図のように角度30°、初速\(v=5\)m/sでやりを投げた場合、ヤリが飛ぶ距離\(x\)を求めてみます。
ヤリを投げてから地面に刺さるまでの時間を\(t\)
重力加速度を\(g=9.8\)m/sとすると
\(\displaystyle t=2\frac{v\sin{(30°)}}{g}\)
\(\displaystyle x=v\cos{(30°)}×2\frac{v\sin{(30°)}}{g}\)
\(\displaystyle x=5\cos{(30°)}×2\frac{5\sin{(30°)}}{9.8}=2.20924...\)
初期値敏感性があるもの
次は初期値敏感性があるものです。
初期値敏感性があるものの例として二重振り子が有名です。
二重振り子とは振り子の下に振り子がついたものです。
3つの二重振り子を
- 149.9°
- 150.0°
- 150.1°
から自由落下させると以下のようになります。
初期値はほぼ一緒なのに、見事にバラバラな動きになっています。
カオス理論が日常生活に与える影響
このカオス理論は私たちの日常にもしっかりと影響を与えています。
何かを混ぜるとき
- パン生地
- うどん生地
- カクテル
- トランプのシャッフル
などを混ぜるときに、初期値敏感性がないと、どうなるでしょう?
初期値の差が小さいと結果の差も小さくなるので、最初に近くにあるものは混ぜ終わった後も比較的近くにいることになります。
つまり、なかなか混ざりません。
天気予報が外れる
天気予報が100%あたらないのも、カオス理論が関係しています。
ナビエストーク方程式という流体の運動を求める方程式があります。
実はこのナビエストーク方程式も初期値敏感性、つまりカオスな性質を持っているのです。
もちろん天気予報にもこのナビエストーク方程式は使われています。
天気予報に必要な情報は何かの計測器を用いて計測しますが、この計測器の測定結果に誤差があります。
この誤差がある値をナビエストーク方程式など、カオスな性質を持っている計算式に代入するので、結果が大きくばらつくことがあるのです。
ナビエストークス方程式について詳しくはこちらの記事を参照してください。
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もしもこの世に初期値敏感性という性質が無ければ、ある程度精度のある未来が予想できたかもしれません。
しかし、初期値敏感性という性質があるため、少しの行動の変化が未来を大きく変える可能性があります。
つまり、未来は何が起きるのかわからないということです。