コイントスの問題です。
実際の感覚と計算結果が一致しないもやもやする問題です。
これをすっきり理解できる方は完全に数学脳ですね。
- パラドックスのような問題を解きたい
- 頭をひねる問題を解きたい
問題
表と裏がでる確率が同じコインで何度もコイントスを行います。
①表が2回連続して出たら終わり。
②裏→表と出たら終わり。
①と②のどちらがはやく終わるでしょう?
解答
②(裏→表が出たら終わり)のほうがはやく終わる確率が高いです。
直感的に信じがたいと思います。
まずはコインを4回投げる場合のパターンを書き出してみましょう。
〇が表、×が裏を意味します。
①表が2回連続して出る | ②裏→表がでる | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
〇 | 〇 | - | - | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
〇 | 〇 | - | - | 〇 | 〇 | 〇 | × |
〇 | 〇 | - | - | 〇 | 〇 | × | 〇 |
〇 | 〇 | - | - | 〇 | 〇 | × | × |
〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | - |
〇 | × | 〇 | × | 〇 | × | 〇 | - |
〇 | × | × | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
〇 | × | × | × | 〇 | × | × | × |
× | 〇 | 〇 | - | × | 〇 | - | - |
× | 〇 | 〇 | - | × | 〇 | - | - |
× | 〇 | × | 〇 | × | 〇 | - | - |
× | 〇 | × | × | × | 〇 | - | - |
× | × | 〇 | 〇 | × | × | 〇 | - |
× | × | 〇 | × | × | × | 〇 | - |
× | × | × | 〇 | × | × | × | 〇 |
こうやってみると確かに②のほうがよくでていることがわかりますね。
証明
期待値を計算し、②のほうがはやく終わる確率が高いことを証明してみます。
①の期待値
まずは①(表が2回連続)がでるまでの期待値を\(E_1\)とし、値を求めます。
1投目が表の場合
2投目が表なら2投で終了、裏ならさらに\(E_1\)投することになります。
つまりその後の期待値は
1投目が裏の場合
1投して開始時と同じ状態に戻るため
と表すことができます。
1投目が表または裏である確率はそれぞれ\(\displaystyle \frac{1}{2}\)なので
\(\displaystyle E_1=\frac{1}{2}\{\frac{1}{2}2+\frac{1}{2}(2+E_1)\}+\frac{1}{2}\{1+E_1\}\)
\(\displaystyle E_1=6\)
②の期待値
次に①(裏→表)がでるまでの期待値を\(E_2\)とし、値を求めます。
準備
すでに裏が出た状態とし、ここから\(F_2\)投できるとします。
次が表なら1投で終了。
次が裏ならさらに\(F_2\)投します。
つまり期待値\(F_2\)は
\(\displaystyle F_2=\frac{1}{2}1+\frac{1}{2}(1+F_2)\)
\(\displaystyle F_2=2\)
1投目が表の場合
1投して開始時と同じ状態に戻るため
と表すことができます。
1投目が裏の場合
1投した後の期待値は\(F_2\)であるため
1投目が表または裏である確率はそれぞれ\(\displaystyle \frac{1}{2}\)なので
\(\displaystyle E_2=\frac{1}{2}\{1+E_2\}+\frac{1}{2}\{1+F_2\}\)
\(\displaystyle E_2=4\)
\(\displaystyle \frac{E_1}{E_2}=\frac{6}{4}=1.5\)であるため、①は②に比べ、終わるまでの期待値が1.5倍である。
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