数学で未来予知が可能なのか?
フランスの数学者ラプラスが唱えた理論「ラプラスの悪魔」について、数学に詳しくない人にも楽しんでもらえるように、わかりやすく解説します。
- 未来予知は可能なのか知りたい
- パラドックスの話が好き
Contents
未来予知の方法
1812年フランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスが以下の内容を主張しました。
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。
※「確率の解析的理論」より引用
簡単な未来予知
このような例を考えてみましょう。
ヤリが地面に刺さるのは何秒後か?
この問題は中学生の数学の知識があれば解くことができます。
ヤリを投げてから地面に刺さるまでの時間を\(t\)
重力加速度を\(g=9.8m/s\)とすると
\(\displaystyle t=2\frac{(v×\sin{30°})}{g}\)
\(\displaystyle t=2\frac{(5×0.5)}{9.8}\)
\(\displaystyle t≒0.51\)
ラプラスの悪魔
物体の初速と角度がわかれば、その先、その物体がどのように動くか計算できることがわかりました。(実際には空気抵抗など様々な要素があります。)
では人間の行動は予知できるのか?
人間を構成している構成している要素を考えてみましょう。
人間の構成要素はこのようになっています。
水 | 60% |
炭素原子 | 20% |
酸素原子 | 8% |
水素原子 | 4% |
窒素原子 | 3.4% |
カルシウム原子 | 1.6% |
リン原子 | 1% |
カリウム原子 | 0.4% |
その他の原子 | 1.6% |
いわゆる「原子」というもので構成されているんですね。
原子とはこんな感じのやつです。
未来予知は可能か?
ラプラスの未来予知が可能であるという主張は、物議を呼びました。
そして残念ながら、未来予知は不可能であることが証明されてしまいました。
パラドックスによる証明
ラプラスの悪魔がこの宇宙のどこかに存在していると仮定しましょう。
このラプラスの悪魔は宇宙にある全ての情報を知ることができます。
そして集めた情報をラプラスの悪魔の脳内に保存します。
ラプラスの悪魔は宇宙のどこかに存在しているので、ラプラスの悪魔の脳もどこかにあります。
宇宙の情報を保存したラプラスの悪魔の脳は情報が増えます。
それによって、宇宙の情報も更新されます。
そのため、もう一度ラプラスの悪魔は宇宙の情報を集めないといけません。
しかしその情報を脳内に保存すると、また宇宙の情報が更新されてしまい・・・。
このようなループに陥ってしまい、ラプラスの悪魔はいつまでたっても宇宙の完全な情報を入手することができません。
宇宙の完全な情報を入手できないということは、完全な未来予知もできないということになります。
量子力学による証明
量子力学によって、原子が崩壊するタイミングは完全にランダムであることがわかりました。
完全にランダムである場合、計算ではどうやっても求めることができません。
つまり未来予知もできないということです。
カオス理論
未来予知が難しいことは、カオス理論も大きく関係しています。
カオス理論についてはこちらの記事を参照してください。
ブラジルで蝶々が羽ばたくと、テキサス(アメリカ)で竜巻を引き起こす。と言われたことがバタフライ効果(エフェクト)という表現の由来です。本当にそんなことが起こるのか?この記事で、この疑問についてわかりやすく解説します。[…]
余談
出展:Nintendo/Creatures Inc.