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コラッツ予想は解けたも同然!?いろんなアプローチのまとめ!

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数学の未解決問題の1つであるコラッツ予想。

問題の意味は小学生でも理解できるのに、専門家が証明できない問題です。

この問題はなぜ解けないのか?一体どこまで解けているのか?何が難しいのか?

そんな疑問に答えるために、コラッツ予想証明のいろんなアプローチを紹介します。

もしこの記事で紹介する証明の続きを閃いたら、懸賞金の1億2千万円があなたのものになりますよ!

こんな人にオススメ
  • コラッツ予想について詳しく知りたい
  • コラッツ予想を証明してみたい
  • コラッツ予想を証明する方法を知りたい
  • コラッツ予想がどこまで解けているのか知りたい
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コラッツ予想とは?

コラッツ予想の内容は以下です。

コラッツ予想

以下の操作を繰り返せばどんな正の整数も1になる。

  1. 偶数の場合は半分にする。
  2. 奇数の場合は3倍して1を足す

「11」で試してみます。

11(奇数) ⇒ 11×3+1=34
34(偶数) ⇒ 34/2=17
17(奇数) ⇒ 17×3+1=52
52(偶数) ⇒ 52/2=26
26(偶数) ⇒ 26/2=13
13(奇数) ⇒ 13×3+1=40
40(偶数) ⇒ 40/2=20
20(偶数) ⇒ 20/2=10
10(偶数) ⇒ 10/2=5
5(奇数) ⇒ 5×3+1=16
16(偶数) ⇒ 16/2=8
8(偶数) ⇒ 8/2=4
4(偶数) ⇒ 4/2=2
2(偶数) ⇒ 2/2=1
1になったので「11」に対してコラッツ予想が正しいということがわかりました。
一時的に52まで増えましたが、ちゃんと1に収束しましたね。

コラッツ予想を解く方法

コラッツ予想を解く方法は2種類あります。

コラッツ予想を解決する方法
  1. コラッツ予想のルールに従って計算し続けると、全ての正の整数が1になることを証明する。
  2. コラッツ予想のルールに従って計算しても、1にならない数字を見つける。

2021年の時点で、576京4607兆5230億3423万までの正の整数に対してコラッツ予想は正しいことがコンピュータで証明されています。

コラッツ予想はおそらく正しく、①がコラッツ予想を解く方法だと考えられています。

現在の進捗

2021年現在、スーパーコンピュータで計算して576京4607兆5230億3423万までは1になることがわかっています。
さらに2019年にテレンス・タオという中国の数学者が「対数密度を用いて考えると、ほぼ全ての正の整数で1になる」という論文を発表しました。全てではなく、ほぼ全てなので、コラッツ予想の解決には至りませんでした。
やっぱりこの問題を解決するのは難しそうですね。
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確率からのアプローチ

最初は確率からアプローチしてコラッツ予想を解く方法を紹介したいと思います。

操作によって数字が大きくなる確率よりも小さくなる確率のほうが高ければ、だんだん数字が小さくなり、いつか「1」になるだろうという考えです。

操作対象の数字が偶数であれば半分にし、奇数であれば3倍して1を足します。

操作対象の数字を\(m\)とします。\(m\)が偶数である確率も奇数である確率もそれぞれ\(\displaystyle \frac{1}{2}\)なので、場合分けをします。

  • \(m\)が偶数の場合
\(m\)は偶数なので
\(m=2n\)
とします。\(2n\) ⇒ \(\displaystyle \frac{2n}{2}=n\)
\(n\)は偶数か奇数かわかりません。
  • \(m\)が奇数の場合

\(m\)は奇数なので
\(m=2n+1\)
とします。

\(2n+1\) ⇒ \(\displaystyle 3(2n+1)+1=6n+4=2(3n+2)\)

\(2(3n+2)\)は偶数なので、もう一度操作してみます。

\(2(3n+2)\) ⇒ \(\displaystyle \frac{2(3n+2)}{2}=3n+2\)
\(3n+2\)は偶数か奇数かわかりません。
次のことがわかりました。
わかったこと
  • 偶数を操作すると、次は偶数になるか奇数になるかわからない。
  • 奇数を操作すると次は必ず偶数になる。
これを表にしました。
スタート1回目2回目
偶数偶数偶数
奇数
奇数偶数
偶数
奇数偶数偶数
奇数
偶数偶数
奇数
偶数と奇数の割合を見てみます。
スタート1回目2回目
偶数50%75%62.5%
奇数50%25%37.5%
偶数になる(数字を小さくできる)確率の方が多そうですね。

次に試行回数を無限大にした場合の、偶数と奇数の割合がどうなるか確認してみましょう。

  • 偶数を操作すると、偶数か奇数になりその確率は同じ。
  • 奇数を操作すると、必ず偶数になる。

という内容を数式にしてみます。

試行回数\(a\)のとき、偶数である確率を\(K_a\)とします。

  • \(a=1\)(スタート)のとき

\(K_1=0.5\)

  • \(a=2\)のとき
\(\displaystyle K_2=\frac{K_1}{2}+(1-K_1)=\frac{0.5}{2}+(1-0.5)=0.75\)
  • \(a=3\)のとき
\(\displaystyle K_3=\frac{K_2}{2}+(1-K_2)=\frac{0.75}{2}+(1-0.75)=0.625\)
  • \(a\)のとき

\(\displaystyle K_a=\frac{K_{a-1}}{2}+(1-K_{a-1})=1-\frac{K_{a-1}}{2}\)・・・①

①式の一般項を求めます。

特性方程式を以下のように定義します。

\(\displaystyle c=1-\frac{c}{2}\)・・・②

この特性方程式の解は以下となる。

\(\displaystyle c=\frac{2}{3}\)

①式から②式を引くと

\(\displaystyle K_a-c=1-\frac{K_{a-1}}{2}-(1-\frac{c}{2})\)

\(\displaystyle K_a-c=-\frac{1}{2}(K_{a-1}-c)\)

\(\displaystyle c=\frac{2}{3}\)を代入する。

\(\displaystyle K_a-\frac{2}{3}=-\frac{1}{2}(K_{a-1}-\frac{2}{3})\)

\(\displaystyle K_a-\frac{2}{3}\)は初項\(\displaystyle K_1-\frac{2}{3}\)、公比\(\displaystyle -\frac{1}{2}\)であることがわかったので、\(\displaystyle K_a\)の一般項は以下となる。

\(\displaystyle K_a-\frac{2}{3}= (K_1-\frac{2}{3})(-\frac{1}{2})^{a-1}\)

\(\displaystyle K_a= (\frac{1}{2}-\frac{2}{3})(-\frac{1}{2})^{a-1}+\frac{2}{3}\)

\(\displaystyle K_a= (-\frac{1}{6})(-\frac{1}{2})^{a-1}+\frac{2}{3}\)

一般項を求めることができたので、\(a→∞\)のときの\(K_a\)の値を求める。

\( \displaystyle \lim_{a \to \infty} (-\frac{1}{6})(-\frac{1}{2})^{a-1}+\frac{2}{3}=\frac{2}{3}\)
ある数字を操作し、その数字が偶数になる確率は\( \displaystyle\frac{2}{3}\)であることがわかった。
確率がわかったので\(x\)を操作する場合の期待値を求めてみる。
偶数のときは半分にし、奇数のときは3倍して1を足すので
\( \displaystyle (\frac{x}{2})(\frac{2}{3})+(3x+1)(\frac{1}{3})=\frac{1}{3}(4x+1)\)
\(\displaystyle x<\frac{1}{3}(4x+1)\)なので操作を続けると値が大きくなっていくという結果になってしまいました。
証明失敗ですね。
発散してしまうという結果は、コラッツ予想の内容と異なるため、どこか考え方が間違っているのかもしれません。
一度でも「1」を通過するとそれで終わりなので、無限大に操作するという考え方が間違っているのか?
それであれば、収束する数字ではなく、操作を繰り返した場合のばらつきを求めたほうがいいのかもしれません。
あと、確率からアプローチする場合は、値が小さくなっていくことだけでなく、ループしないことも証明する必要があります。
ちなみに2019年にテレンス・タオという数学者が対数密度を用いて、ほぼ全ての整数に対してコラッツ予想は正しいことを証明しています。
全部ではないので賞金はもらえません。
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数学的帰納法からのアプローチ

次は数学的帰納法を用いて証明を試みます。

コラッツ予想は「1」という整数に対して成り立ちます。

\(n\)以下の正の整数全てで成り立つと仮定し、\(n+1\)で成り立つことが証明できれば、全ての正の整数に対してコラッツ予想が成り立つことを証明できます。

\(f_t(x)\)をコラッツ予想の操作をt回繰り返す関数とすると、

\(n+1>f_t(n+1)\)

を示せば証明完了となります。

\(n+1\)が少しでも小さくなるこということは、全て成り立つと仮定されている\(n\)以下の正の整数になるということになるためです。

\(n+1\)は偶数か奇数かわからないため、場合分けをします。

  • \(n+1\)が偶数の場合
\(n+1\)は偶数なので
\(n+1=2m\)
とします。\(2m\) ⇒ \(\displaystyle \frac{2m}{2}=m\)
\(2m>f_1(2m)=m\)となりました。
  • \(n+1\)が奇数の場合

\(n+1\)は奇数なので
\(n+1=2m+1\)
とします。

\(2n+1\) ⇒ \(\displaystyle 3(2n+1)+1=6n+4=2(3n+2)\)

\(2(3m+2)\)は偶数なので、もう一度操作してみます。

\(2(3n+2)\) ⇒ \(\displaystyle \frac{2(3n+2)}{2}=3n+2\)
\(2m+1<f_2(2m+1)=3m+2\)なのでまだ操作する必要があります。
しかし\(3m+2\)は偶数なのか奇数なのかわからないため、操作ができません。
もう一度場合分けをすれば先に進めるのですが、先ほどの確率からのアプローチで操作を繰り返すと値が大きくなっていくということがわかっています。
つまりこのアプローチでもここが限界ということです。
やっぱり簡単に1億2千万円は手に入りませんね。

二進法と階差数列の一般項を使った証明

二進法と階差数列を用いたコラッツ予想の証明論文が投稿されました。

論文の投稿者から「数学IIBで理解できると思いますので、高校生にとっては励みになるとおもいます。」とコメント頂いております。

こちらのリンクから無料でダウンロード可能なので、是非読んでみてください。

英語で書かれているので読むのは大変ですが、非常に面白い証明でした。

その他の未解決問題

コラッツ予想以外にも問題は簡単に理解できるのに、未だ解けない問題があります。

詳しくはこちらの記事を参照してください。

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