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フェルマーの最終定理の答えは?わかりやすく証明を解説!

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問題は簡単なのに、証明に約350年以上かかった歴史的超難問フェルマーの最終定理。

その証明をわかりやすく解説します。

こんな人にオススメ
  • 数学の歴史的超難問を解決した歴史に興味がある
  • フェルマーの最終定理の証明に興味がある
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フェルマーの最終定理とは?

西暦1637年、数学者フェルマーは「算術」という本の余白に問題を書き残しました。
それがフェルマーの最終定理です。
フェルマーの最終定理
次の方程式は\(n≧3\)で自然数解を持たない。
\(x^n+y^n=z^n\)
問題だけ見るとすぐに解けそうな気がしますね。
そしてフェルマーはこの問題と一緒に有名なひとことを添えています。
「私は驚くべき証明を見つけたが、それを書き記すには、この余白は狭すぎる」
フェルマーは「算術」を読み、そこで得た知識を元に自分で問題を作り、それを本の余白で解くという習慣がありました。
もしフェルマーに別紙で問題を解くという習慣があれば、約350年間世界中の数学者を悩ませることもなかったはずなんですけどね。
数学者からしたらとんだ迷惑ですね。
フェルマーの人物像についてはこちらの記事を参考にしてください。
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フェルマーが本の余白で問題を解いていた理由、他の数学者がフェルマーが嘘をついたと思わなかったことがよくわかりますよ。

証明の歴史

フェルマーの最終定理は1995年、アンドリュー・ワイルズによって完全に証明されました。

しかし完全証明にたどり着くまでには、とても長い歴史があります。

1640年 フェルマー

\(n=4\)のときフェルマーの最終定理が成り立つことを証明しました。
※フェルマーが意図せず証明していたことを、オイラーが発見しました。

1753年 オイラー

\(n=3\)のときフェルマーの最終定理が成り立つことを証明しました。

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1823年 ソフィ・ジェルマン

\(p\)が素数で\(2p+1\)も素数であれば、\(n=p\)のときフェルマーの最終定理がおそらく成り立つことを主張しました。

ソフィ・ジェルマンはこの時代ではかなり希少な女性数学者です。女性は学校に行けなかったため、男性と偽って講義を受けていた、という逸話があります。

1825年 ディリクレとルジャンドル

\(n=5\)のときフェルマーの最終定理が成り立つことを証明しました。

1832年 ディリクレ

\(n=14\)のときフェルマーの最終定理が成り立つことを証明しました。

1839年 ラメ

\(n=7\)のときフェルマーの最終定理が成り立つことを証明しました。

 

ちなみに\(n=3\)が証明できれば、3の倍数全てで成り立つことになります。

\(3\)の倍数を\(3n\)と表す。(\(n\)は自然数)

\(x^{3n}+y^{3n}=z^{3n}\)
\((x^n)^3+(y^n)^3=(z^n)^3\)

\(x^n=X\)
\(y^n=Y\)
\(z^n=Z\)
とすると

\(X^3+Y^3=Z^3\)

\(X,Y,Z\)は自然数であり

\(x^3+y^3=z^3\)を満たす自然数\(x,y,z\)が無いことが証明されているため

\(x^{3n}+y^{3n}=z^{3n}\)を満たす自然数\(x,y,z\)も無いことがわかる。

つまり\(n\)が全ての素数に対して成り立つことが証明できれば、フェルマーの最終定理を証明したことになります。

しかし素数は無限にあります。

素数1つづつ証明していても埒が明かないですね。
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ワイルズの証明

歴史的数学者たちのバトンを受け継ぎ、ついに完全証明をしたワイルズの証明。

筆者も完全に理解できなかったため、ざっくりした流れを紹介します。

ワイルズの証明論文は100ページを超えます。

楕円曲線に変形する

まずはフェルマーの最終定理の方程式を楕円曲線に変形します。

\(x^n+y^n=z^n\)

両辺を\(z^n\)で割る。

\(\displaystyle\frac{x^n}{z^n}+\frac{y^n}{z^n}=1\)

\(\displaystyle \frac{x}{z}=X\) , \(\displaystyle \frac{y}{z}=Y\)とおく。

\(X^n+Y^n=1\)・・・①

①の式に\(n≧3\)を代入すると、楕円曲線になります。

楕円曲線には有理点が有限個であるという性質があります。

座標の値が全て有理数である空間の点のこと。
※有理数とは2つの整数\(a,b\)を用いて分数で表せる数のこと。
つまり楕円曲線として考えれば、フェルマーの最終定理の解が有限個になります。
これで素数が無限にある問題が解決されました。

フライ曲線

フェルマーの最終定理が成り立たないと仮定すると、少なくとも1組の整数解が存在することになります。

その解を\(a,b,c\)とします。\(a,b,c\)はフェルマーの最終定理の解なので、以下のような特性を持ちます。

\(a^n+b^n=c^n\)

次に、この\(a,b,c\)を含むフライ曲線という楕円曲線について考えてみます。

\(y^2=x(x-a^n)(x+b^n)\)

このフライ曲線は\(a^n+b^n=c^n\)が\(abc≠0\)を満たす解をもつとき、モジュラー性を持ちません。

またフライ曲線は半安定です。

つまりフェルマーの最終定理が成り立たたないと仮定すると、フライ曲線は半安定であり、モジュラーではない楕円曲線ということになります。

モジュラー性や半安定は非常に難解であるため今は「そういうものがある」と思っておいてください。

谷村・志村予想

日本人の2名が以下の内容を主張しました。

すべての有理数体上に定義された楕円曲線はモジュラーである。
この、谷村・志村予想が証明されたのはフェルマーの最終定理の証明後です。
しかし、これがフェルマーの最終定理の証明に大きなヒントを与えました。

ワイルズの証明

ワイルズが「半安定な楕円曲線に対して、谷村・志村予想が成り立つ」ことを証明しました。

これがフェルマーの最終定理にピリオドを打つための、最後のピースでした。

これで「半安定な楕円曲線はモジュラーである」ことが言えます。

 

フライ曲線は「半安定であり、モジュラーではない楕円曲線」でした。

しかし半安定な楕円曲線はモジュラーであるはずです。

つまり「フライ曲線は存在しない」ことがわかりました。

 

フライ曲線は「\(x^n+y^n=z^n\)という方程式が、少なくとも1の解を持つことを前提とした曲線(\(n≧3\)のとき)」です。

フライ曲線が存在しなければ「\(x^n+y^n=z^n\)という方程式が解と持たない(\(n≧3\)のとき)」ことがわかります。

 

つまりフェルマーの最終定理が成り立つことになります。

フェルマーの最終定理
次の方程式は\(n≧3\)で自然数解を持たない。
\(x^n+y^n=z^n\)

ようやくフェルマーの最終定理を証明することができました。

ざっくりした流れだけですが、理解してもらえたでしょうか。
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ABC予想による証明

2020年4月に望月教授によって証明された「強いABC予想」があれば、フェルマーの最終定理を簡単に証明することができます。

まずは強いABC予想について簡単に説明します。

強いABC予想
\(a+b=c\)
を満たす、互いに素な自然数の組\((a,b,c)\)に対して
\(c<rad(abc)^2\)
が成り立つ。
互いに素とは、1以外の共通の約数を持たないという意味です。
2と3は互いに素ですが、2と4は互いに素ではありません。
\(rad(abc)\)は\(a,b,c,\)の互いに異なる素因数の積を意味します。
定理だけ見てもよくわからないと思うので、例をあげてみます。
互いに素である\(a=7,b=9,c=16\)で考えてみましょう。
\(c<rad(abc)^2\)
\(16<rad(7×9×16)^2\)
\(16<rad(7×3^2×2^4)^2\)
\(16<(7×3×2)^2\)
\(16<1764\)
\(a=7,b=9,c=16\)に対してABC予想が成り立つことが確認できました。
これでフェルマーの最終定理を証明します!

フェルマーの最終定理の証明

まずはフェルマーの最終定理のおさらいです。

フェルマーの最終定理
次の方程式は\(n≧3\)で自然数解を持たない。
\(x^n+y^n=z^n\)

 

互いに素な自然数\((x,y,z)\)、自然数\(n≧3\)に対して、

\(x^n+y^n=z^n\)

が成り立つと仮定する。

 

強いABC予想に\((x^n,y^n,z^n)\)を代入する。

\(c<rad(abc)^2\)

\(z^n<rad(x^ny^nz^n)^2\)・・・①

 

\((x,y,z)\)は互いに素であるため

\(rad(x^ny^nz^n)^2=(xyz)^2\)・・・②

 

また

\(x<z\)
\(y<z\)

であることから

\(xyz<z^3\)・・・③

であることがわかる。

 

①、②、③を組み合わせると

\(z^n<(xyz)^2<(z^3)^2\)

\(z^n<z^6\)

であることが得られる。

 

従って

\(x^n+y^n=z^n\)

を満たす互いに素な自然数\((x,y,z)\)は\(n<6\)の場合にしか存在しないことが証明された。

 

次に互いに素でない自然数\((x,y,z)\)でも

\(x^n+y^n=z^n\)

を満たすのは\(n<6\)であることを示す。

 

\((x,y,z)\)が互いに素でない場合、共通の約数を持つため、以下のように表現することができる。

\(x=ms\)
\(y=mt\)
\(z=mv\)
※\((s,t,v)\)は互いに素である。

これらを方程式に代入する。

\({ms}^n+{mt}^n={mv}^n\)

両辺を\(m\)で割る。

\(s^n+t^n=v^n\)

\((s,t,v)\)が互いに素である場合、上記を満たす\((s,t,v)\)の組み合わせは\(n<6\)の場合にしか存在しないことが証明されている。

つまり\((x,y,z)\)が互いに素でない場合も

\(x^n+y^n=z^n\)

を満たすのは\(n<6\)であることが証明された。

 

これで全ての自然数に対して\(n>6\)の場合はフェルマーの最終定理が成り立つことを証明できた。

残りの\(n=3,4,5\)の場合はすでに証明されている。

 

フェルマーの最終定理を完全に証明できました。

 

ワイルズの証明と比べると非常に簡単ですね。

参考文献

フェルマーの最終定理についてもっと知りたい方にオススメの文献です。

フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理(新潮文庫)

この記事ではフェルマーの最終定理の証明について解説しましたが、フェルマーの最終定理の魅力はそれだけではありません。

350年の間、奮闘し続けた天才数学者たちの挫折と栄光がとてもドラマチックなんです。

この本は、ワイルズが完全証明するまでのストーリーが記されたドキュメンタリーです。

ストーリー重視の内容なので、中学生や高校生はもちろん、文系の方にもオススメできる本です。

サイモン シン (著), Simon Singh (原著), 青木 薫 (翻訳)

数学ガール/フェルマーの最終定理

数学ガール/フェルマーの最終定理

ワイルズの証明を完全に理解することはできませんが、概要を理解するために必要な知識が丁寧に解説されています。そのため、フェルマーの最終定理の証明をもっと理解するための入門書としてオススメです。

導入から全くフェルマーの最終定理に関係なさそうな話が続き、それらが最後の最後にフェルマーの最終定理に結び付くのは爽快でした。

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